生徒インタビュー Part1 Hazukiさん

無限塾には、様々なプロフェッショナルを持つ大人や才能あふれる子どもたちが、合気道を学ぶことで日々の困難に打ち勝ち人生を豊かにしていこうとしています。「生徒インタビュー」の記念すべき第1回は、合気道歴3年のHazukiさん。出版社で働く若い女性が、なぜ合気道と向き合い、何を得たのか訊きました(文、撮影:すがわら)。

Hazukiさん
養神館合気道5級、合気道歴3年。入会前までスポーツ経験はゼロだった。普段は外資系出版社に勤務。趣味は読書・映画映画鑑賞・イラスト作成など。

ドラマの出る女性の袴姿に憧れて

—-合気道を始めたきっかけは何だったんですか?

合気道に興味を持ち始めた時期は、ちょうど仕事内容が営業から内勤に変わって時間とエネルギーに余裕ができた時期でした。

それまでは、営業として夜の9:30まで仕事をしている日々で、週末は運動するよりは寝た方がいい、という生活でした。それが一転、日常的に疲れない状況になりました。

じゃあ空いた時間で何かやってみようかな、と思っていたところ、あるドラマを観ていたら、ほんの少しの時間なんですが、袴を履いて合気道をしている女優が映って。それを観て「かっこいい!」と思ったんです。もともと着物などの和服が好きというのもあって袴に憧れを持ちました。

——エネルギーの矛先として、合気道以外に検討したものはあったんですか?

もともと小さい頃から水泳をやっていたのですが、黙々と1人でやる水泳は、今の自分には合わないことが分かっていました。適度に人と関わりながら、次のステップがわかりやすいのは合気道だったんです。

あとは過去に経験のある吹奏楽も考えたんですが、チームでやるものだと、仕事や趣味が忙しくなった時に休むことになって人に迷惑をかけたくないのもあり、最終的に合気道に決めました。

コロナが少し落ち着き、道場を再開した際もすぐに稽古に復帰した。最初はぎこちなかった技も、今は難なくこなす。

勝ち負けがないから気負わなくていい。自分の内面に集中できる

——稽古を続けて3年になります。どうして合気道を続けられていると思いますか?

合気道は勝ち負けがなく、「誰々に勝たないといけない!」と気負うことがないからだと思います。だから、自分の内面に向き合うことができるんです。それまでできなかった技が、一つずつできるようになっていくのがとても楽しいんです。

あと、個人競技だから他の趣味と両立できる、というのもあると思います。変に強制力がない方がよい。私は趣味で絵や文章を書くのですが、稽古がイベントや締切とかぶると大変。その時は、少しだけ合気道の頻度を減らして、バランスを保っています。無限塾東京に都度払いのプランがあるのも安心ですね。

——常に忙しい状態でバランスを保っているんですね。疲れたりしないんですか?

何もしていないことへの焦燥感があるタイプなんです。小さい頃から毎日習い事をしていたからかもしれません(笑)。

あと、大学時代、国際教養系の学部に所属していたのですが、そこは2/3が帰国子女と留学生の学部で、私はそうではない1/3でした。

地元では得意だと思っていた英語が、自分よりも圧倒的にできる人が多い環境になり、違う土俵で戦うことの大切さを知りました。だから常に、自分を向上させる何かをしていたんだと思います。

合気道でマッサージいらず?

——熱心に合気道を続けていますが、何か日常で変化はありましたか?

まず、姿勢が良くなったのは大きいと思います。

今も昔もデスクワークなので身体が固まるんです。だからマッサージには定期的に行かないと肩とか腰が辛くて。

でも、合気道をはじめて、周りの人から姿勢を褒められることがすごく増えましたし、しばらくしてマッサージに行かなくてもいい自分に気づいたんです。普通に仕事していても、辛くならなくなったというか、マイナスの状態にならなくなりましたね。

——姿勢を良くしたい、って方とても多いですよね。稽古だけで姿勢が良くなったんですか?

創始者の塩田先生の言葉で、【行住坐臥 一切の時勢 これ最善の道場】、って言葉があるじゃないですか?

畳の上だけでなく、日常が合気道の修行であるという言葉。あれを意識して日々過ごすようになったのが大きいと思います。電車に乗っているときも猫背を直すなど立ち方に気をつけています。

堂々としていると、街で絡まれることも減った

——姿勢に気をつけて、他に良いことはありましたか?

姿勢が良くなって、街や電車の中で変な人に絡まれることが明らかに減りました。合気道で撃退したわけではなく(笑)、たぶん背筋を伸ばして堂々としているからなんだと思います。

——周りの方と合気道の話はしますか?

仕事で海外の人と話をする機会が多いのですが、印象づける話のネタになります。会議が始まる前の雑談のときに、合気道の話は鉄板です!興味を持った人には、意識を集中させる訓練だよーと言ってます。話題がかぶらないので、すぐ覚えてもらえます。

袴が履けるようにがんばります!

——最後に、今後の意気込みを教えてもらえますか?

当面の目標はやっぱり、袴を履けるようになる初段を取ることです。そのためには、仕事などとバランスを取りながら、長く続けたいと思っています。

女性にもどんどんと入ってもらえるように、みんなでサポートしていきたいですね。

——ありがとうございました!初段を取ったらまた、合気道の深さが見えてきて更にハマると思います!

はい!がんばります!

技を覚える方法

こんにちは、指導員の菅原です。

以前、合気道の上達を速める4つのステップについて触れましたが、同様のテーマに対して視点を変えて理解を深めていきたいと思います。

要点

技を覚える力は、理解力と表現力に分けられる表現力に最も個人差があるが、鍛えることは難しい表現力は反復練習を通じた動作のパッケージ化で補うことができる

技を覚える能力を言語化してみると・・・

合気道を大人と子供と一緒にしていると、技の覚え方に違いがあることが分かります。また、大人の中でも覚えの早い人とそうでない人がいます。それぞれどんな違いがあるのでしょうか?

技を覚えるための能力はざっくり分けると2つあります。一つは技を体系的に把握し記憶する「理解力」、もう一つは覚えたことを身体でそのまま実行する「表現力」です。

それぞれの力をもう少し解説します。

合気道で問われる「理解力」とは、お手本の動き方を見て、自分が身体をどう動かせばいいか体系立てて理解する力のことです。

理解力があると、「最初に手と足を斜め前に同時に出して、次に〜」という手順を自分の言葉に翻訳して、脳内で再生することができます。

経験上、子供よりも大人の方が理解力は高いです。小学校高学年くらいになってくると、大人の能力に近くなって来るようです。

「表現力」とは、見て理解したことを自分の身体で正確に表現する力です。手足を斜め前に同時に出すという例をとってみても、どうしても手足がバラバラに動いてしまいます。表現力には、大人と子供に大きな差はありません。

「表現力」が覚える速さを決める

理解力と表現力についてお話しましたが、覚える速さを決めるのは表現力の方です。

審査の前は特に、「頭では分かってはいるんだけど、どうしてもできない」「いつも同じところで間違ってしまう」といった悩みを多く聞きます。

頭と身体に差があるわけです。

よくスポーツに関して覚えの早い人を「センスがいい」「運動神経がある」なんて言ったりしますが、これは身体が優れているというよりは「頭と身体の差が少ない」というのが適切と言えます。

表現力は鍛えるよりも“補う”ことが大切

では、どのようにして表現力を鍛えれば良いのでしょうか?

これは明確な答えはありません。鍛えることは容易ではないはずです。

諦めるしかないのか?

そうではありません。表現力は補うことができます。補うためには、反復練習が一番です。何度も何度も同じ動作を行い、身体に動きを染み込ませるのです。

反復練習はとにかく回数を重ね、パッケージ化する

稀に、一度成功すると「はいはい、こうやるのね、わかった」と言って、反復練習をやめてしまう人がいます。そういう方は、いざ審査のときに頭が空っぽになって、成功する前の動作をしてしまいます。

大切なのは、頭が空っぽの状態でもできるように数多く反復練習なることです。そうすることで、合気道に特に多い、複数の部位を同時に動かす動作を一つの動作としてパッケージ化できます。特に疲れたときに行うと効果が高まります。

パッケージにしたものは脳内リソースをあまり使わないので、審査のときに頭が空っぽになっても問題なく表現できます。また、別の動作を覚える際も、パッケージにしていれば、一から覚える必要がなく、合気道を覚える速さは増していきます。

まとめ

これまで合気道の技を覚えることについて考察してきましたが、ポイントとしては、

技を覚える力は、理解力と表現力に分けられる表現力に最も個人差があるが、鍛えることは難しい表現力は反復練習を通じた動作のパッケージ化で補うことができる

といえます。

頭を空っぽにして反復練習することで、合気道の上達は速めることができます。1人では中々できないので、だからこそ仲間と稽古するんですね。