合気道とは

合気道は 「和合の武道」 である。

合気道は、日本発祥の100年あまりの歴史を持つ伝統武道です。合気道の創始者は植芝盛平、養神館合気道という流派の創始者は塩田剛三です。

合気道は、人を痛めつけて勝敗を決することを目的とせず、相手の気と自分の気を合わせて導くことを目的としています。

合気道における技は、相手の押してくる力、引いてくる力に自分の力を合わせることが究極の理合となります。
これは体力や筋力があるからできるわけではありません。むしろこれらは邪魔とさえなってしまいます。

何よりも大切なのは、自分と相手を理解する力が必要となります。常に澄んだ気持ちで相手と和して技の上達をはかることが合気道の稽古の大前提です。その観点では、「二人で行うマインドフルネス」と言われたりもします。

体格体力の大小強弱、年齢、性別、国籍にこだわることなく、一生涯の習い事として合気道に向き合うことができます。

純粋な日本の伝統武道であり、そして相手と和することを目的としているという2つの点で、合気道は「和合の武道」と言われています。

合気道の効果

礼儀作法が身につく

入会したら一番最初に学ぶのは礼儀作法です。礼の仕方一つとっても、非常に奥が深く、謙虚な心を動作に転じるのは実はとてもむずかしいことです。

姿勢がきれいになる

合気道ではぶれない姿勢がとても重要です。稽古をする中で、自然と背筋が伸び、目線が前を向くようになります。稽古をはじめて一ヶ月もすれば、歩き方から変わるはずです。数年もすれば立ち姿だけで「武道をやっている人」とわかるはずです。

人づきあいが改善する

「相手を自分の思い通りにしてやろう」と思えば思うほど、目的の結果から離れた経験を誰しもしているのではないでしょうか?合気道の技を練習すると、自分の我(が)が、技を邪魔することが分かります。無理矢理ではなく、でも思ったとおりの技を相手にかける。合気道はただ強くなるのではなく、畳を離れた後、家庭や仕事といった日常生活で真価を発揮します。

大切な人の身を守れる

合気道の究極の極意は、「殺しに来た相手と仲良くなること」と創始者の塩田剛三は言います。合気道をしていれば、喧嘩をそもそもしなくなります。一方で、身の回りの大切な人が脅威にさらされた時は、警視庁でも取り入れられている養神館合気道の技を発揮することになるでしょう。

こんな人にオススメ

養神館合気道の特徴

1. 自分も相手も傷つけない

養神館合気道は、警視庁機動隊や婦警の選択科目として学ばれる実践的な武道です。


格闘技と違うのは、相手に怪我をさせることを目的としない点です。あくまで、自分の身を守り、お互いに怪我をしないように制圧するための方法を学ぶことができます。


また、多人数に囲まれた時を想定したり、武器を持った相手を想定して練習します。


これは特に子供にとって、日々のいじめに対して、抗いながらも傷つけない生き方を学ぶことができます。


現代では、例え身を守るためとはいえ、相手を傷つければ罪に問われます。その点で、現代的な護身術といえます。

2. 日常を改善するヒント

合気道は、日常に活力を与え、社会生活を円滑に進めるためのヒントを与えてくれます。

 

合気道に武器取りという、技があります。剣で斬ってくる相手に対して、丸腰で制する技です。

 

初心者のうちは、どうしても剣に対して後ろに下がってしまうのですが、大切なのは、剣という恐怖に打ち勝ち、前に出ることです。ただし、相手の正面に出ると斬られるので、相手の軸が崩れるところに入る「入身」をし、剣の勢いを殺さず「回転」し、制します。

 

日常で武器を持っている人に出会うことはほぼないですが、対人的な恐怖や人生の困難に出会うことは少なくないのではないでしょうか?

 

武器取りの稽古は、前に出る勇気の大切さ、身を守りながらも問題を対処する術を教えてくれます。

合気道の稽古は、仕事や家庭でこそ真価を発揮します。

3. 一生涯続けられる

合気道は力がないほうが上達します。

それは、身体の一部の筋肉を使うのではなく、全体の筋肉を連動させる動きの方が合気道の技と相性がいいからです。

 

その点で、合気道を子供の頃から学ぶことで他の運動の基礎が出来上がり、パフォーマンスが上がるケースも多いようです。

 

もちろんお年を召した方でも、痛めつけることを目的としないので、自分のペースで身体と向き合いながら進められます。

 

合気道を始める方の多くは、武道未経験や運動未経験です。それでも怪我をせずうまくなっていくのは、身体の使い方と呼吸と合わせて動く方法を丁寧に学ぶからです。

 

実は、合気道は一人でやるよりも、夫婦や親子共通の趣味としてもやる方も多いです。

合気道が他武道などと違うところ

合気道は、「」と「身体」の鍛錬を通じて、「」を成長させる武道です。

武道・格闘技との違い

合気道は、相手を制圧する方法のみを学ぶのではなく、自分と相手が傷つかず、その場を治める方法を学びます

 

実は、海外の争いが多い地域で子供に合気道を習わせようとする方が増えています。それは、「自分の身を守って欲しいけど、人を傷つけてほしくはない」という親心の現れだといいます。

 

自他を守ろうとすることが目的なのは、合気道の特徴の一つです。

スポーツ・エクササイズとの違い

スポーツは気分がすっきりしたり、友だちができたり、健康増進のために非常に有効です。合気道は、これらのスポーツの要素に加え、社会生活を円滑に送るためのメソッドを教えてくれます。

自分の肉体や気持ちの変化を瞬時に察知したり、相手の気持を読み、互いにとって良い方に導く力がつきます。

 

ストレス発散以上のものを得ることができるのは、合気道の特徴の一つです。

 

勉強や読書との違い

「社会生活を円滑に送る方法」と前述しましたが、本でも学べることは多いです。

合気道の良いところは、頭だけでなく、身体を使って「体得」する感覚を掴むことができます。

 

自分の緊張が相手にどう伝わるか、技を行う際に如実に結果に現れます。これはとても面白いことです。

相手の気持を察する方法を本で読んでもできない場合、そこで得た知識を合気道で使ってみると、文字通り「体得」することができるかもしれません。

合気道の歴史

合気道は、100年前にできた近代武道の一つです。

  • 1912年(明治45年)

    植芝盛平が北海道にて武田惣角の大東流合気柔術に出会う

  • 1921年(大正10年)

    和歌山にて、植芝塾開設。道場での稽古に加えて、消防団の結成や農園開梱の指導に取り組む

  • 1922年(大正11年)

    植芝塾での指導内容を合気武術と命名、古事記の研究をもとに、精神性を付加する

  • 1930年(昭和5年)

    東京都新宿区に皇武館=植芝道場(後の合気道本部道場)が開設される

  • 1932年(昭和7年)

    塩田剛三が植芝道場に入門

  • 1955年(昭和30年)

    合気道養神館が創設される

  • 1990年(平成2年)

    全日本養神館合気道連盟、国際養神会合気道連盟が設立される

黒帯取得までの道のり

大まかにいえば、100項目を500時間かけて習得、審査に合格することで初段=黒帯が取得できます。

なお、資格を取ることは目的ではなく、調和を目指す過程で級・段位取得があることをご留意ください。

jaJA